今回は、自分をコントロールする能力「自己調節機能」について書きます。
目次
自己調節機能とは?
自分自身の行動を意識的、自発的にコントロールする能力である(Bronson,2000)
⚠️自己調節機能についての定義は、他にもある。
この自己調節機能は、5,6歳になると獲得することが出来る。だいたい年長さんか、小学一年生ごろです。
それを実証した実験があります。
実験①ルリヤらの実験
ルリヤら(Luria&Yudovich,1971)は、1歳半ほどのやっと言葉がわかる年少児に一種のゴムまりを渡します。そして、その中の空気を押し出すように指示します。
この指示に対して子どもは難なく空気を抜くことが出来ました。しかし、一旦その行動を始めると、やめるように言っても辞めることが出来ませんでした。それどころか、その動作を強めてしまいました。結局、途中でやめるように言っても最後まで空気を抜いてしまいました。
このことから、1歳半頃の子どもは言葉が持つ「発動機能」によって行動が促進されるが、やめるといった「意味的側面」に応じて行動を調節することができないということが分かります。
3,4歳になると赤いランプがついた時に「押せ」緑のランプがついた時に「押すな」と実験者が指示すると上手く行うことができる。しかし、実験者の指示がないと上手く行うことが出来ない。
次に、実験者ではなく自分自身で赤ランプがついたら「押せ」緑のランプがついたら「押すな」と言うようにすると、赤ランプの時は上手くいくが、緑のランプは「押すな」と言っても押してしまう。
このことから、3,4歳では、実験者が言った言葉の「意味的側面」を理解はできるが、自分自身に向けた言葉の「意味的側面」の理解は難しい。
5,6歳を過ぎると自己調節機能を獲得して、次第に自己制御も可能となる。そして、意志的に振る舞うことも出来る。さらに進むと、自分自身に声を出して命令しなくとも、頭の中で自身に命令を出せるようになる。
この実験から5,6歳には自己調節機能を獲得できるとわかります。
また、マシュマロ・テストというのもあります。
実験②マシュマロ・テスト
子どもの前にひとつのマシュマロを置きます。その後、「少しの間我慢すればもう1つマシュマロをあげるよ」と伝え、実験者は部屋の外に出ます。
そこから、子どもがどれだけ我慢できるかを観察します。
この実験からは、色々な見解があり、マシュマロテストで好成績を残した子は後の人生を成功させると言った見解や、マシュマロを我慢できるか出来ないかは、そのこの家庭環境に影響するなどというのもあります。
まとめ
電車の運転手などが行う「指差し確認」は成人における言語的自己調整機能のひとつです。
この自己調節機能を獲得出来ていないと、欲のままに動く恐ろしい人間になりますね。心理学を学んで人と脳ってホントに不思議だなとひしひしと感じています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。